神戸三宮駅から南に歩いていくと突如現れる広場。都会の街並みから解き放たれたようなそんな東遊園地に、週末の朝になると人の笑顔と笑い声で溢れる場所があります。
子どもからお年寄りまでみんなが一緒になって「農」を囲む場所、EAT LOCAL KOBEファーマーズマーケットです。今回はそんなファーマーズマーケットを運営するEAT LOCAL KOBE(以下ELK)さんにお話を伺って、私たちが感じたその魅力をみなさんにもお伝えしたいと思います!
神戸に暮らし、ローカルを食べる
-ELKとはどんな組織なのでしょうか?
「地産地消」を考える取り組みとして2015年にスタートしました。神戸の農水産物を広く知ってもらい,農漁業者,加工業者,飲食店,消費者,行政など幅広い交流の場を作り,共に成長できるコミュニティーを育むことを目的としています。
一番初めはウェブサイトで、神戸で育てられている野菜をどこの誰が作っているのかという情報発信をしていました。でも実際に田畑から離れて暮らす人たちにはアクセスしづらい環境があったので、直接生産者と消費者を結ぶ場を市内の中心部につくる必要があると感じました。それがファーマーズマーケットの始まりです。
都市にしては収穫量が多い神戸なのに市民に知られていない、、、
-ELKを始めるきっかけは何だったのですか?
神戸は海と山に囲まれた豊かな土地で、都市ながらに農作物の収穫量が多いんです。でも、神戸市がアンケートを取ってみると、神戸市民の多くがその事実を知らないということがわかりました。
神戸にもたくさんの農家さんがいて、 地元で取れた農作物を美味しくいただくことが出来ることを知って欲しい、「農をもっと身近に感じて欲しい」という思いから、EAT LOCAL KOBE (ELK)が発足しました。
みんなで生み出す、手作りのマーケット
−ファーマーズマーケットはどんな役割なのですか?
「人と人が出会える場」であることを大切にしています。農家さんははこれまで都会の消費者とダイレクトに繋がる手段がなかったんです。でも、ファーマーズマーケットを通して生産者と消費者が直接交流することができて、消費者同士や生産者同士も繋がることができます。様々な人々が立ち話ができるようなフラットな場所を作ることがファーマーズマーケットの役割だと考えています。
−マーケットが始まる前に、農家さんや学生ボランティア、事務局のみなさんが協力しながら自分たちでテントを張ったり、ミスト装置の設置などを進める姿がありましたね。
はい。そこも分業ではなく、立場に関係なくお互いが隣の人を助け合うということを大切にしているからです。お客様には、エコバックやマイカップを持参していただく、次の人のために片付ける、限られた席を譲り合っていただくといったご協力をいただいています。
廃棄ゼロの小さなモデルを創り出す
-ELKが運営するアーケットのリアルショップFARMSTANDの特徴はなんですか?
ELKでは新規就農者さんや、若い農家さん、多くの品目を少量ずつ育てているような農家さんを応援するため、農家さんからは委託でなく買い取りにしています。それが農家さんの安定に繋がり、低価格競争を防ぐことになるためです。さらに売れ残ったものは、できるだけFARMSTANDというファーマーズマーケットのリアルショップでジャムやランチ、デリやスイーツなどに加工し販売しています。廃棄物ゼロへの試みだとも言えます。
農への理解がある、協力的な消費者を増やしたい
-今後のビジョンを教えてください
現存する農家さんの高齢化の影響もあり、毎年農家さんの数が減少しています。 「地産地消をしよう!」という盛り上がりが見られるのは良いことだけど、地元の農作物を消費するには、このままでは限界があります。
だからこそ、「実はこんな人達がこんな思いで作っていて、だからこの値段で売っている!」ということを実感してほしい、そしてみんなで適正価格を考え、持続可能な環境を育てていきたいと思っています。そのためにも「農への理解がある、協力的な消費者を増やしたい」という思いでELKの活動に取り組んでいます。
農家さんと私たち―互いが応援し合う関係に
-最後に、大切にしていることを教えてください!
大切にしている言葉は「おたがいさま!」。いつも、どんなときも、農家さんと私たち消費者はお互いに応援し合う存在でありたいですね。
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みなさん、今回のインタビュー記事はいかがでしたか?訪れたことがない人はもちろん、訪れたことがある人も新しい発見があったのではないかなと思います。
インタビューをしてみた私たちも、今まで訪れていたファーマーズマーケットがどんな経緯で生まれ、どんなビジョンを持って取り組んでいるのかということを改めて知り、ますます興味を持ちました。特に、FARM STANDで残った野菜や果物をデリやお弁当にリメイクすることで廃棄ゼロのモデルを作っている点には、「地産地消」を促進するだけでなく「持続可能(サステナブル)」な街を目指す姿勢が見られ、とてもステキな試みだと感じました。
「神戸に暮らし、ローカルを食べる」ということ。今回の取材から、ELKがどれほどそれを大切にされているということを改めて実感しました。農業関連人口が減少している中で、ELKが農家さんにこれほどにまでフォーカスする理由、そしてその必要性を、この取材を通して学びました。
ぜひ、神戸のファーマーズマーケットEAT LOCAL KOBEで自然に囲まれ、農家さんとのおしゃべりを楽しみながら、美味しい朝ごはんを食べ、そしてその日に取れたお野菜や果物を堪能してみてください!
あなたもきっと新たな魅力に気づくはず!
次回は『神戸のファーマーズマーケット、EAT LOCAL KOBEってどんなところ?ー後編ー』をお楽しみに〜!
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